タイメディカルハーブを考える

タイメディカルハーブを中心に「食」と「健康」を考えます。日本では紹介されていないタイメディカルハーブなども紹介していきます。

タイの薬草・メディカルハーブ<マラキーノック(ゴーヤの原種)>

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ゴーヤと言えば日本でも、血糖値を下げる野菜として有名ですよね。
そのゴーヤの原種がこのマラキーノックです。
マラキーノックはタイでも食事として食べられています。
ちなみに、マラキーノックとはタイ語で「鳥の糞」と言う意味。つまり、鳥の糞みたいにとてもちっちゃい実です。これが品種改良を重ねて今のゴーヤとなるわけです。

さて、このマラキーノックの効果ですが、タイ伝統医学では、血糖値のコントロール、虫下し、食欲増進、抗癌作用、坑HIV、などがあります。
次回はそれらのお話をしていきましょう。

タイの薬草学 その7<統合医療>

f:id:maetyuu0623:20170219032751j:plain疾病を治療し症状を緩和する方法には「対症療法」と「原因療法」があります。
これまで多くの医療機関などで実践されてきた医療は、「対症療法」を中心と

 

した近代西洋医学を根本としてきました。
しかし昨今、国際的な医療の趨勢(すうせい)は、単に病だけではなく、人間の心身全体を診る「原因療法」を中心とした伝統医学や相補・代替医療も必要であるという考え方に急速に移行しています。
統合医療とは、二つの療法を統合することによって両者の特性を最大限に活かし、一人ひとりの患者に最も適切な『オーダーメイド医療』を提供しようとするものです。
実際に、救命救急や外科手術などの臨床現場では近代西洋医学でしかなしえない治療が施されます。
しかし一方で、慢性疾患の治療や予後の療養、さらには近代西洋医学では治療不可能と言われた症状に対して、伝統医学や相補・代替医療の有効性が数多く報告されています。・・・<引用:一般社団法人日本統合医療学会 統合医療とは>

近代医療のほとんどは上記にある「対症療法」です。
風邪薬は、かぜの菌を殺す薬ではなく、鼻水や咳や熱を抑える「薬」です。かぜの菌は自然治癒で治しています。ここに近代医療の限界があるのですが、当然、それが劣っているわけではありません。「統合医療」という考え方は、近代医療の不得意な部分を補うことで「病気の治療」をより精度の高いものにしていこうという考え方です。

さて、その伝統医療でも近年注目されているのが、ペートペンタイの薬草学です。(もちろん日本では中医からきている鍼灸やアメリカからきているカイロプラクティックなどは定着しています。)
ペートペンタイの薬草学は何か症状が起こった(病気になった)時に使う薬草だけでなく、症状が軽い状態(未病)や予防のために使うものも多く存在します。
現代人(特に日本人)は「薬」を知ってしまっています。熱がすぐにひく。ということは体にとって非常に劇的な変化です。そもそもあまりそういったことはありえません。
ある程度解明されているメディカルハーブの作用機序では、食べ物としてハーブを摂取したとき、人の体は選択的に必要な成分を吸収します。逆に、薬の場合は体の選択権がなく、必ず体内に吸収されてしまいます。(もちろんそのように作られていますから)結果、「副作用」が出てしまいます。

薬の知識もネットで簡単に調べられる時代です。
まだまだ、日本人と日本のお医者様は「薬」が大好きです。
自分達で様々な「知識」を学んで自分に合った「統合医療」を考えても良いのではないでしょうか?
その時にハーブという選択肢も面白いと思います。

タイの薬草学 その6<現在の研究>

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以前にプエラリアの研究以降、各国の製薬会社のハーブ研究が落ち着いた。と書きました。確かに「落ち着いた」感はあるのですが、むしろ、研究のやり方が変化したと言った方が適切かも知れません。
これも以前の記事ですが、2010年問題というもののせいで、「新薬」の開発のやり方が変わりました。
他方、生物多様性条約<COP10(2010年)が名古屋で開かれたときには有名でしたが・・・>などの縛りで、「原産国」に対しての公平な分配をしなければならないということなどからも変化の要因かもしれません。

上記の3つの状況もあり、タイでは、次のような方法でも「製薬会社」がタイハーブを研究する形をとっています。(もちろん製薬会社は独自の研究も行っています。)
つまり、タイの大学の研究施設に「研究費」を与えることで、該当するハーブの研究を行わせる形です。これによりもし「薬」ができたとしても、何千億ともいえる開発費を10分の1程度に抑えられるといわれています。タイに限って言えば、もともと「薬草学」の知識が歴史的に豊富な人材がそろっていますので、「研究費」が与えられれば非常に良い成果が得られるでしょう。
このやり方は当然、製薬会社だけではなく、化粧品メーカーや製造メーカーなど、各方面の「開発」の素材として行われており、様々な「特許」が既に出されています。

例として、

ワーンチャックモッルーク(ジャワウコン)に関しての薬理特許・・・
サントリー:脂質代謝改善剤
小林製薬:歯周病治療剤
資生堂:シミ、そばかす、カンパン、日焼け阻害、美肌、美白用皮膚外用剤

タイの薬草学 その5<臨床実験というか人体実験>

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2200年以上前から人体実験を繰り返してきて現在に至るメディカルハーブ(

 

笑)がタイハーブなのですが、平気で現在も人体実験を繰り返しています!(笑2)

有名なのがアパイブーベ病院です。
ハーブ製品の商売もやっているので当然ハーブを売りにしているわけですが、まぁ、世に出ぬハーブの実験を繰り返しているようです。
いや、少し、言い過ぎました。アパイブーベだけではありません。タイの様々な病院でハーブが使用され、「論文」が出ています。<論文が出されているハーブに関しては問題なく「安全」ということです。通常は動物実験→人体実験となりますが、タイでは、いきなり人体実験をやっちゃいます!>

3つほどその論文を・・・

ランチューというデトックスハーブ(重金属やトランスファット、農薬など200種類以上の毒を排出・無毒化してくれる)として有名なタイハーブ

その1

タイではカブトガニのたまごを食べます。カブトガニのたまごにはまれにテトロドトキシン(ふぐと同じ毒)という毒があるものがあります。この毒の中毒患者にランチューエキス(要はランチューのお茶)を飲ませたところ、中毒症状が治り回復した。という論文。

その2

麻薬中毒患者にランチューエキスを飲ませて経過観察をしたところ、いわゆる禁断症状が軽減された。

その3

アルコール中毒患者にランチューエキスを飲ませて経過を観察した。血中のアルコール濃度の減少だけでなく、生体反応の向上も見られた。

とまぁ、様々な医学論文が発表されています。(もちろんタイ語です。)

笑い話のように書きましたが、タイ王国では、これだけ真面目に学問としてタイハーブが研究されているということです。日本人が疲れているときには「ファイト一発!」を思い出すように、タイ人はタイハーブを思い出すような文化だと言うことです。(ちなみにレッドブルは元々タイ発祥ですが、本件とは一切関係がありません。。。)

タイの薬草学 その4<薬草学の歴史その2>

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タイ王国には大王と呼ばれる非常に尊敬されている王様が3人いらっしゃいます。

初代の王様ラーマ1世、ラーマ5世、そして先日崩御されたラーマ9世です。
ちなみに王様と私で有名なタイの国王はラーマ4世です。

当然、それぞれの王様が偉大な功績を残されたので「大王」と呼ばれて尊敬されているわけですが、本日のお話ででてくるのはラーマ5世、別名チュラローンコン大王です。
チュラローンコン大王は「奴隷制の廃止」や大戦時に外交戦術を駆使してタイの独立を守ったりなどの功績がありますが、文化や学問に非常に力を注いだ国王でもあります。チュラローンコン大学は国内1位の大学で日本で言えば、東大と学習院大を合わせたような大学です。

1999年にはアメリカの『タイム』誌で、「今世紀もっとも影響力のあったアジアの20人」の1人にタイ人から唯一選ばれた。”ウィキペディアより。

もう、あまりにもたくさんのことをされた方なので、もしご興味があれば検索してみてください。
で、この方、タイの知識や文化を集めて、「学問」へと発展させた人物なのです。そう、タイの伝統医学を編集して「学問」にした方なのです。
タイ方医大典(30巻)を編纂し、その後これを元に様々なタイ伝統医学書が作られました。
もちろん、タイの大学では薬草学を学問として学ぶ事ができます。

タイの薬草学 その3<現代の薬のルールと漢方薬>

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日本でもそうですが、「漢方薬」という「薬」として認められている薬草があります。当然、「薬」はお金と時間をかけて開発→臨床実験→認可というプロセスを経て世に出回ります。

実は、飲み薬にはあるルールというものがあります。
それは、30分以内に胃で崩壊し、1時間以内にその効果が現れ、6時間以内に代謝される。というルールです。

1960年代にプエラリアの美容成分が発表されて以来、各国の製薬会社はこのプエラリアの成分(プエラリンをはじめ、プエラリアには様々な植物性女性ホルモンが含まれている)を抽出、研究して「薬」にしようと研究してきました。しかしながら、プエラリアから抽出されたそれらの成分は上記のルールにそぐわないものばかりだったのです。

プエラリアに関しての記事はこちら→ http://miracleherb.info/herb/05.html#pueraria

現在ではロングスパンの薬なども出てきていますのでルールとしては「緩和」されているのかもしれませんが、近年は新薬がほとんどでてこない(新薬の2010年問題)といわれていますので、プエラリアの薬としての研究はひと段落しているようです。
といいながらも、タイハーブの製薬会社の研究は非常に盛んで、恐らくタイハーブから「新薬」が開発される日もそう遠くはないのではないでしょうか。

実際に、植物などにある成分をヒントに作られる新薬の開発は盛んで、インフルエンザの薬「タミフル」は中華料理の香辛料のハッカクからの成分がもとになっています。

ちなみに漢方薬には、日本の伝統的に「効く」事が証明されている(歴史的に臨床がされている)ものがあります。こういったいわゆる「伝統薬カテゴリ」は各国にあるようで、タイでもハーブは「薬」としての認識になる場合も多いようです。

タイの薬草学 その2<薬草学の歴史>

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さて、本日はタイ伝統医学(ペートペンタイ)のお話です。
ペートペンタイを語る上でタイの文化・風習ははずせません。タイは仏教の国です。しかも日本と違い、上座部仏教(小乗仏教:現在はこの呼び方は使われていません)です。
すごく簡単に言えば、上座部仏教ではお坊さんは生産活動をせず一生修行をする。そして、出家していない人はお坊さんに「喜捨」という形で食事をわたします。また、お寺は日本同様、寺子屋のような役割もしており、お坊さんが「先生」でもありました。(上座部仏教については、この文章だけでは誤解もあるかもしれませんが、本線からそれてしまうので最低限の知識のみです。)そして、お坊さんは山で修行をしています。すると、体調の悪そうな動物がいつも同じ植物を食べているのを見かけます。ある時村人が、「頭が痛いんですけど・・・」と相談してきます。お坊さんは、「では、この植物を食べなさい。」と村人に先の植物を食べさせます。時には治ることもあったでしょう。時には、その植物か原因で村人が死んでしまうこともあったでしょう。
このような「人体実験」を繰り返して、薬草の知識を増やしていったのです。

では、この薬草学の歴史はいつからなのでしょうか?
タイに仏教が伝わった頃からと考えると、仏教の伝来が諸説あるようですが、少なくともインドのアショーカ王(紀元前200年ごろ)の時代にはタイの地域で仏教を信仰しているという文献が残っているので約2200年くらいの仏教国となる。同時に、タイの薬草学は2200年以上の歴史があるということになります。